関西支部だより+ 35号(2021年3月版) 特集「コロナ以後の新しいエコシステム」Vol.5
インタビュー記事東博暢さん(株式会社日本総合研究所)
日時:2月8日 場所:オンライン
主催:都市計画学会関西支部編集広報委員会
趣旨:日々進展するデジタル技術は暮らしを支え、コロナを経てますます生活に浸透しています。対面でできることが制限されたことを契機に、リモートワークやオンライン通話、アプリでのフードデリバリーといった選択肢がにわかに身近となった人も多いと思われます。併せて、持続可能な社会構築に向けたDX化の議論が各分野で過熱しており、都市計画もまた例外ではありません。私たちはデジタル技術にどう向き合っていけるのか、各地のスマートシティ推進に携わる東博暢さんに最新の動向を伺いました。
東博暢氏プロフィール詳細:株式会社日本総合研究所 研究員紹介
1. スマートシティとは
東氏:私はもともと3つくらい軸に活動していまして、スタートアップ支援、スマートシティ、クールジャパンです。その中でもまちづくりに関わり出したのは2006年頃、大阪のうめきた2期着工前コンセプトづくりがスタートでした。その後、東日本大震災の復興などを経て、この5年間、ようやく日本でもスマートシティが動き出していると感じます。現在私は、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターのアドバイザーや、有識者としての立場で国交省や経産省の検討委員に入って自治体向けにスマートシティのガイドブックを作りながら、いろんな地方自治体の現場の実務に参加しています。関西だと大阪万博の地元パビリオンの基本構想づくりや奈良県のまちづくり、深くまち丸ごとに関わっているのは浜松市と加賀市です。国の政策づくりと地方の現場にパラレルで関わり、できるだけ中央と地方の進捗のタイムラグなく政策を進めていくことに留意しています。
まず前提として、大きな技術革新は5年刻みで起きており、50年の計というまちづくりの尺で考えると、技術のアップデートが10周くらいしてしまいます。まちのスマート化は情報通信技術を活用しますから、グローバルの進展状況を含めてまちづくりをどう考えるかが大事かなと思っています。
スマートシティは都市政策ではなく、市民が地域のどのような課題を解決してどういう生活を送りたいかという、あくまでDX(Distal transformation)を進めるための手段です。熊本市や京都府では上下水道、奈良は公園管理、大阪では食やエンターテイメントなど、色々な切り口があります。自治体には、スマートシティは総合計画に書いてある全ての分野に関わることだという話をよくします。
また、スマートシティを推進することによって市民がワクワクするか?幸福になるか?市民にとって本当に必要なのか?という話をします。そのため、PainkillerかMoonshotが必要という話をしています。まず、困っていることをどのようにテクノロジーを活用し解決するか。たとえば、医療崩壊した中山間地域では遠隔医療がPainkillerつまり痛み止めになります。ただし東京のような都市部ならふらっと病院に行けますから、地方によって「痛み」は変わってきます。一方、楽しい文化芸術系の話でいうと、ワクワクするような未来を描けていますか、ということが大事になります。テクノロジーを入れすぎると味気ないです。イーロンマスクが言うような火星に地球圏移すぞ、みたいな話がMoonshot(注:従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦)です。
そもそもの定義でいってもDXのアウトカムは”Good Life“を実現することですから、スマートシティ施策を推進することで幸せになっているか、生活全般の満足度が上がっているかが本質的な問いです。幸福度をモニタリングする指標が必要という話は政府の方でも出てきています。1つの部局や縦割り、単独の企業でできるものではなく、全ての個人・法人が関わるものなので、官民・異分野の総力戦で、オープンイノベーション的にアジャイルにやりましょう、その中でもイノベーションの文脈が重要ですというのがスマートシティの基本的な考え方になります。
2. 日本におけるスマートシティの動向
日本の場合は特に、既存の政策の延長上では国家経営は限界を迎えているという話があります。人口がこれだけ急増急減する中で国土が形成されましたから、都市を畳む上でも取捨選択が求められるし、社会インフラができあがった後からDXを推進しようとしてもスイッチングコストが非常に高い。さらに、GDPが下がる中での国土維持コストの増加に加え、超高齢社会における社会保障費の増大にも直面しており、スマートシティの文脈でも、歩くまちづくりやウェルネスなどの政策との連携が重視されてきています。
今後、国家経営もデータを使ってマネジメントすることが不可欠になる(EBPM)、ということで、2016年くらいから総務省でデータ利活用型スマートシティというコンセプトを提示し、その後、内閣府を司令塔にほぼ全省庁のスマートシティ関連政策を統合していって、やっと2020年度にできたのがスマートシティ官民連携プラットフォームです。
今は、その中でも集大成としてスーパーシティを全国から5地域くらい選んで、官民住民一丸となってやるぞという話になってきています。スマートシティを進める上で特に重要なのがアジャイル型のまちづくりです。駅前の再開発なんて根本的に変わると思います。商業施設があって、バスターミナルがあって、そこにタクシーが停まってみたいな構図って、昔は当たり前でしたけど、自動走行、MaaSや分散給電などが当たり前の世界が10年以内には来るでしょうから変わらざるを得ません。バルセロナでは、アジャイル型で街をつくったり、スーパーブロックで車の侵入をマネジメントしたり、新しい手法で都市マネジメントをしています。日本では福岡や神戸、東京、浜松、加古川、加賀、色々なところで、living labを活用して、市民と共創を進めながら実証実験を経て、まちづくりに新たなサービス導入を進めていくアプローチが開始しています。
特にコロナ以後に気を付けるべきは、パンデミックがくる前提で社会設計をする必要があるだろうということです。安全と経済どちらを優先するかという議論がありますが、状況に応じてそれぞれの比率を濃淡分けながら同時に進めるという、ある種二兎を追うようなまちづくりをしなければなりません。毎度毎度緊急事態宣言でおたおたする状態をここ一年間繰り返したので、さすがに次からは速やかに安全モードと経済成長モードを切り替えながら危機を乗り越え、社会の機能を維持できるようなまちの設計にしとかないといけない。経済活動をどんどん進める時は、観光政策でもインバウンド、教育も健康福祉政策も対面で色々なチャレンジをやればいいんでしょうけど、パンデミックが拡がった瞬間に安全モードにスイッチして観光も教育も医療もオンラインに速やかに切り替え、1、2週間くらいして落ち着いたらすぐ経済活動開始できるような柔軟な政策設計が必要ですね。
今まではアナログでやっていましたけど、最近では携帯電話事業者が人の移動情報はリアルタイムで把握でき、すぐに前年度比を出せるほどデータも集まってきますから、データを分析しながら、その時々にあったタイミングで市民が求めている各政策を打つことができるようになってきたというのもスマートシティを推進してきた一つの成果だと思います。我が国では、パンデミックだけでなく、震災、豪雨、豪雪など毎年災害が起こっているので、もはや非常事態ではなくこれが日常であると割り切ったほうが良い。このようなニューノーマルを時代における都市計画やまちづくり政策を真剣に考えないといけない時代に入ってきたということです。
都市計画との関連でいえば、従来の都市計画はガチっとゾーニングして計画して運営するという物理的な空間(フィジカル)中心に計画してきましたが、今みたいにコロナが起こり、ヒトとモノの移動が一変したときに、これまでの固定化されたゾーニングの意味があるのか、人が分散化したり商店街から人が消えたりする状況に応じて、まちの設計がどう時間と共に変化していくか、都市計画も柔軟に考えなければならないという議論が出てきており、段階的に開発を進めていきまちの様子見ながらアジャイルにまちづくりを進めていくことの重要性も議論されています。そうすると、状況に応じてモビリティはどうするんだっけ?道路の今までの設計って良かったっけ?みたいな話が出てきて、新たな建物とMaasの関係性などが話題として挙がってきたリします。
こうした動きに加え、現在、デジタル庁をつくる流れになっています。国の方針等で、日本のDXがニューノーマル時代における新たな原動力だ、GaaS(Government as a Servie)だと言われ、デジタル庁設置の考え方やデジタルガバメントの実行計画が出ています。スマートシティのアーキテクチャーも、上から戦略、組織、ルール、データ連携基盤などと整理されていますが、最もベースになるのがデータです。AIやIoTを活用するにもそもそもデータが間違っていたらまったく使い物にならないぞ、データ品質が重要だ、ということで、まずデータ、ベース・レジストリの整備についての検討を進めているのが今の状況です。
オープンデータを推進するにしても、公園台帳や固定資産台帳といったいろんな台帳が標準化・デジタル化されていません。たとえば文字のデータだと「埼玉」の漢字に2種類あるから別認識してしまうとか、位置情報についても、住所と緯度経度問題というのがあります。例えばドローンである大学のこの建物にものを届けようとしても大学の住所は1つだから届けられないといったことが起きてしまいます。現在、ベース・レジストリを中核としたデータのエコシステムを構築するために、台帳の類は全部デジタル化していきましょう、その上で、データ連携基盤を介し、ソフトが動きサービスアプリケーションが市民に提供されるようになればよいと議論されているところです。
3. 事例1:浜松市デジタル・スマートシティ(静岡県)
東氏:自治体では、東京や浜松、橿原、加賀、尾道など様々な地域でデジタル宣言がなされていて、それを主導していく部局が首長直下に置かれています。新しいテクノロジーを使って市民がどのような体験ができるか実証実験を通じて検証しています。
具体的には浜松市がわかりやすいと思います。私は、浜松市ではデジタル・スマートシティーフェローやベンチャー支援アドバイザーをやっています。スポット公務員として、浜松市の名刺を持って関わっています。ビジネスのトレンドをリアルタイムで把握した上で、全体を見渡す人材がいないということで民間から何人かが招聘され、マネジメント面で行政改革に近いアドバイスをしています(https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/digitalsmartcity/)。
浜松市ではまずトップダウンで鈴木市長が都市づくり・市民サービス・自治体運営のデジタルファーストをやりましょうと宣言した上で、庁内では市長直下に庁内組織を全部局で横断できる「デジタル・スマートシティ推進事業本部」を創設しました。本部を中心に、浜松市内外の様々な産業界から100社以上の事業者が集まり浜松市と共に官民連携組織を作って、まち丸ごとどうやってスマートシティを推進するかを検討しています。
モビリティの超低速自動走行をやってみたりですとか、自動車を改造して移動するオフィス車をつくってもらったり、いろんな実証実験をやっており、いいものがあれば来年度から本格的に導入していこうと検討しております。今年の3月末には「浜松市デジタル・スマートシティ構想」というスマートシティ推進の総合計画のようなものを出す予定です。
4. 事例2:平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ(奈良県)
東氏:2年前に立ち上がった「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジコンソーシアム」も有識者として、また官民コンソーシアムの会長として関わっています。以前から公園政策はウォーカブルシティの文脈でも取り組みが進んできていましたが、コロナ禍において屋外空間へのニーズが高まり、新たな日常において公園をもっと活用すべきという動きが出てきています。平城宮跡は甲子園30個分ぐらいの広さがあって奈良のど真ん中に位置していますから、かなり重要なグリーンインフラであり、コロナ禍についても結構人々が来ています。
平城宮跡歴史公園スマートチャレンジは国土交通省としては国立公園をスマートシティの実験場と位置づけています。公園で実験して、いいものが出てきたら周辺のまちづくりにどんどん使おうという考え方が、今は重要になってきています。スマートシティを推進するには省庁間の調整が本来は必要なんですが、国立公園ならばまるごと国交省が自分たちが所管しているし、コロナ禍でもいろんな人が訪れるし、公園内に民家とかがあるわけじゃないので、比較的自由に実験できるんです。文化財を傷つけなければ大体大丈夫ですから。平城宮跡はその一発目です。
平城宮跡での取り組みの目的は、魅力を高めてもっと人に来てもらうことと、メンテナンスにかなりの人手とコストがかかるので、それをいかにカットしていくかです。この2つを新しい技術を活用し同時に実現するために、データの収集と基盤解析のプラットフォームを設置して企業からソリューション提案を募集しました。約10の実証実験を同時並行で2年間進めています。昨年度はそれぞれでサービスアプリケーションを作り、今年度はいろんな実験をしながらリアルタイムデータ連携、データ統合をするチャレンジもします。自動走行やパーソナルモビリティを走らせたり、ARで公園の案内をしたり、最終的にはビジネスとしてサスティナブルに回ることを目指しています。公園管理に関しては、伐採する外来種の植物をAIとドローンで割り出す実験をしています。いずれボタンを押したら自動発着機からドローンが飛んで行って写真を撮ってAIで解析結果を返してくれて、解析結果を基に人が効率よく公園管理をし、空いてる時間で来園者に不亜価値の高いサービスを提供することを目指しています。
自動走行車の実証実験では、地元の自治会長さんも乗ってくれました。奈良県でやったのもあり、自動走行はテレビの画面越しに見ているだけで東京やどこかの都市部の話で関係ないと思っていた市民の皆さんも、実際自分のまちで走っていて気軽に乗れるということで好評でした。自治会長が体験談をブログに書くと、今度は近所の商店街の方や地元の方も乗りに来てくれたんです。実際に乗ってみると時速8キロくらいなら全然怖くないし、歩車融合が自然とできていたりするんですよね。新しい技術に触れる場が公園だということがすごくよくて、新技術を体験するショーケースとしての使い方ができます。奈良という土地柄がまたよくて、まちが1300年間変わっていないことが面白いし、平城宮跡歴史公園は混んでなくて広大でアクセスしやすい。関西圏の実験場みたいな感じですね。今後も他の実証実験を予定しています。
5. ディスカッション
編委:スマートシティに関わっていると、各エリアにワクワクする未来を設定し、可変なところを残しながら、どの企業の技術・どのデータを使ってコンセンサスを得ていくのかというデザインがすごく大切だと思います。今まであまり認知されていなかった専門性だと思うのですが、そのような人材の活躍について日本や海外ではどのような状況でしょうか。
東氏:スーパーシティで言われるリードアーキテクトという人、テクノロジーだけではなく、政策も含め全分野を見る人ですね。突き詰めると行財政改革にもなるのですが、1つはテクノロジーの社会実装の全体感を見渡せるかということです。どのデータとどのデータが結び付けばどのような付加価値が提供できるのか、農業、交通、社会福祉など全体を見渡せてプロデュースできる人材、海外ではCTO(Chief Technology officer)がその役割を担うことが多いですが、このような人材が役所の中にも必要となってきます。
日本の場合は、たとえアドバイザーでも、どこかの部署・セクションにぶら下がってる立場なのか、CxO(Chief x Officer)なのかで全く異なります。実際には、スマートシティ政策は、CxO人材がある程度旗振って全部局調整からスタートしないとうまくいかないので、そこのジョブ・ディスクリプションを作ったらどうですかみたいな話をスマートシティガイドブック検討会では提言しています。そうすると外部人材の活用の仕方も変わるわけですね。
私も浜松市である種のCxOのスポット人材としてフェローをやらせていただいてますけど、神戸市のように様々なアドバイザーがジョブ型でいる自治体もあります。場合によっては大学院生でもいいと思うんですよ。新しいテクノロジーとかトレンドに敏感ですし、特に法律研究とか政策研究やっているマスターやドクターなら、グローバルな情報通信法制にリアルタイムでついていけて、即戦力です。社会に出る入り口の仕事として、自治体のCxOのカバン持ちとかにあてこんでいくと、アカデミア人材が世の中に出るきっかけにもつながります。例として産学官連携の事例として、大阪府立大学の「スマートシティ研究センター」がありますが、私も参加して作っています(https://www.osakafu-u.ac.jp/academics/orp/21c/scrc/)。
人材がいないのが問題だとか、みんなよく外部人材だ、って言いますが、日本に人口1億人以上いて、人材がいないわけないだろう、20代30代に山ほど人材いるじゃないかと考えています。仕事の定義が出来てないだけです。台湾のリバースメンターみたいに35歳以下が大臣のメンターやっているような制度もあるわけですから。
編委:テクノロジーの進展に応じてアジャイル型のまちづくりを進めていかないといけない中で、日本は旧来の構造が変わっていないし、法改正の動きもまだまだ遅いですよね。想像力を働かせて、計画技術を変えていかないといけないと思うのですが。
東氏:根本的には、これまで都市計画は土木建築の人たちが主体的にやってきたところですが、文化人類学や行動経済学といった人文社会学の人も入っていかないと人の行動変容には繋がらないと思います。今やっと大学改革でリベラルアーツが日本の教養課程に入ってきてますよね。大阪大学の仕掛学もそうですけれど、別にテクノロジーで解決しなくてもちょっとしたデザインで変えられるわけです。福岡のある病院でキャッシュレス精算機を導入した話を聞いたのですが、現金主義のじいちゃんばあちゃんはそれでもなかなかキャッシュレス端末を使わず現金で支払いにくる、そこで床に精算機へと誘導する白線を引いたところ、みんなそっちに動いたっていうケースがあります。これはある意味、行動経済学ですが、デザインだけで人の動線を変えれるわけです。全てを金と技術で解決する必要はない。例えば、離島は大変だからドローン物流を導入しましょうという話を首都圏の会社が持ち掛けたのですが、地元では全くニーズがない。実は島民が本州に行くときに、ご近所さんの欲しがっているもの、例えば誰かがまとめて薬買ってきてくれるから困ってない、むしろご近所付き合いが多く、お互いいつでも相談できる関係性が構築されており、ソーシャルキャピタルが高く幸福度が上がってるんだったら、技術を導入して人のネットワークを分断する意味はないですね。
東氏:それと、もうちょっとジェネレーションギャップをどうにかしてくれって話があります。1995年にインターネットが商業化して、そこから10年でFacebookができてソーシャル化しました。そこから5年刻みで、スマホが出てきて(モバイル化)、AI・IOT技術が社会実装され(自律化)、あらゆるものがデジタルシフトして(DX化)…と進展しています。
この変化ってまちづくりの50年スケールで考えたら一瞬なんですけど、実際はものすごい世代間ギャップが起きています。インターネットが普及する前に育ったX世代と、1980年生まれでデジタルとアナログの狭間を知っているY世代なら、若いころ携帯電話もなく待ち合わせに苦労した世代だったりするので垣根はあまりないんですけどね。
たとえば、1995年生まれのZ世代は物心付いた時にはネットが周辺に溢れとる状態です。2010年生まれのα世代は基本的にアプリユーザーでSNSに依存する、さらに2015年生まれだと家にルンバはあるわ街中でロボットが喋ってても普通になっています。
今は、まちづくりで20年後を設計するにも、X世代が中心ですよね。アナログなX世代が作ったまちが2040年のZ・α世代に受け入れられるでしょうか?この辺りの5年刻みで感覚が違う世代間ギャップを埋めるような設計してますか?って話は大事かなと思います。Z・α世代に任せるように、まちづくりにもある種余白を残すというか。
編委:データ規格の統一はなかなかハードルが高いと思うのですが、自治体側にもやはり苦労があるものでしょうか。規格が違うとオープンデータにするにしてもメリットがあるのかという話もあります。
東氏:苦労しますね、ここはデジタル庁に仕切ってもらわないといけない話です。基本的に、自治体がバラバラにやっても標準化は難しくて、ベース・レジストリを提示して、地域でどういう使い方があるかユースケースを考えてもらうのが大事かなと思います。
やっと政府の方でもオープンデータの品質の議論になってきていまして、品質が維持された標準的なデータにしていくためにオープンデータカタログサイトなどを整理しています。いずれどこかで予算の話にもなると思います。どこまで政府、どこまで地方自治体でやるかと。測量も含め、もうちょっとみんなで分担できないかという議論が出てくると思います。
編委:将来的な技術の進展を踏まえた行政計画を作ろうとしても、どうしても現状から考えたりします。浜松市の場合では、総合計画・総合戦略でスマートシティをどのように連携させているのかお聞きしたいです。
東氏:一応連携させていく方向で動いてますね。向こう50年とか30年の軸については、どこの自治体もそう変わらないと思うんですけど、山の登り方やアプローチは変わってくると思います。特に今は稼ぐ力の向上みたいなところにシフトしてきていて、加賀だと高付加価値の農産物を香港・台湾におろす稼ぐ農業だとか、大阪だったら再生医療の拠点を作って世界中から投資を呼び込むとか、最近増えている多拠点居住なら、海外と日本に住んでもらえればいい。シンガポールの富裕層がサーキットブレーカー発動して自然もなにもなくて生活が辛いって日本の田舎来てるわけですよね。そういう人を呼ぼうとしたらインターネット環境はマスト、教育や福祉も全然違うよねという話になりますし、都市に住んでいる人に来てもらおうと思ったら免許がなかったりするからMaasがないと選ばれないです。そういう考え方をしていくと、政策も色々とアイデアが出てくると思うんです。
特にコロナ禍になってから、積極的な首長がいる自治体に関してはどんどん新しい政策を打っています。山梨県や加賀市、橿原市、尾道市もそうですが、浜松市は市長が現在の状況をチャンスと捉えているからこれだけのスピードで進められています。田舎の首長が今強いですね。
編委:これからの各都市での発展が楽しみです。ありがとうございました。
(編集担当:南 愛)