人とつながり、まちを楽しむ

2019年3月号

紀の川市地域おこし協力隊 新美真穂

 私の暮らす和歌山県紀の川市は、フルーツのまち。一年を通して、さまざまなフルーツを収穫できることが自慢です。市内を歩けばそこかしこにフルーツ畑があり、桃の花が咲く桃源郷、真っ赤に染まる柿の葉、広がるイチジクの香りなど、ふとした瞬間に四季を感じることができます。私はここで、地域おこし協力隊として活動しています。

 わたしが地域おこしに興味を持ったのは、大学院の時に室﨑千重先生と研究室の仲間とともに十津川村・谷瀬地区の地域おこし活動に参加したことがきっかけです。谷瀬に通い、酒米づくりやイベントの手伝い、住み込みでの調査など、さまざまな活動を通して地域の方と交流していく中で、十津川村への愛着が増していきました。そして、「交流を生み、地域へ愛着を持つ人を増やしたい」と思い、地域おこし協力隊になろうと決めました。

 紀の川市には「ねこの駅長」で有名な貴志駅があり、訪れる外国人観光客は年間10万人といわれています。そんな駅前に市の観光施設ができることになり、建設前から一緒に観光客との交流を楽しめるような仲間をつくろうとワークショップを企画・開催しました。月一回、全5回で外国人観光客とお話ししてどんなことに魅力を感じるか伺い、まちあるきをして魅力を集め、みんなでイラストにして手づくりのマップを作りました。外国人観光客とお話しすることで外からの視点を知り、普段見慣れた「当たり前」の中から魅力を発見するきっかけになりました。交流を生み、地域へ愛着を持つ人を増やしたいという挑戦の一歩を踏み出すことができたような気がしました。

 どこのまちにも、当たり前の暮らしの中にこそ魅力があると感じています。まずは自分自身が普段からまちを面白がり、どんどん魅力を発見できる人になりたいと思っています。そして、見つけた魅力を人に伝え、まちを楽しみ、暮らしを楽しむ人を増やし、幸せな社会につなげていきたいと考えています。

タイトルとURLをコピーしました